組織文化

キーワード

●組織文化の前提
#愛, #美, #善, #信頼

●個人の視点
#well-being, #being, #本質的自己(spirit), #健全度, #自我(ego)

●組織の視点
#存在目的(evolutionary-purpose), #全体性(wholeness), #自主経営(self-management)

●理論背景
#エニアグラム, #成人発達理論, #ティール組織

組織文化の前提

RIWBの前提を一言で表現すると「(無条件の) 愛」です。すなわち、すべての意思決定や言動の判断基準は、究極的には「愛」となります。愛は多様な側面を内包していますが、RIWBでは、特に、「」,「」,「信頼」の3要素を基本的な価値観として組織文化の前提に据えています。

「美」

  • 何が自己の内的な真実に照らして正しいのか?」を問う領域。
    • 個人の存在の中に息づく感覚や直感、思想や哲学、そして、美意識や宗教観に照らして、最も誠実な選択や判断をしようと希求する「真実性」(authenticity) とも言えます。
  • RIWBは、以下のような数値で測れない「美しさ」を大切にします。
    • 「愛」を感じる心
    • 自分自身やRIWBの存在目的に耳を傾けられる感性
    • 抽象的や潜在的な違和感に気づける美意識

「善」

  • 何が道徳的・倫理的に正しいのか?」を問う領域。
    • 何が正義であるのか?
    • 何が公正であるのか?
  • RIWBは、人間の根本的な善を信じています。
    • RIWBのメンバーは誰でも、無条件に善良であると信じられています。
    • RIWBは善の価値基準に基づいた組織運営や事業を行います。

信頼

  • 信頼は、RIWBの組織文化を醸成するのに不可欠です。
    • RIWBのメンバーは、1つの人格を持ったRIWBという組織から無条件に信頼されています。
    • RIWBでは、すでにメンバー1人ひとりが権限を持っている状態が初期設定です。助言プロセスを通じたメンバー1人ひとりの意志決定は歓迎され尊重されています。

個人と組織の視点

個人の視点 (メンバー1人ひとりからの目線)

私たちは、本質的自己(spirit)を追求する過程こそが人間の人格的な成長であり、Well-beingの基礎だと考えています。
自分が何ができるからというdoingではなく、自分はどんな人間かというbeingにこそ、人間の本質的な存在基盤があります。

Beingに向き合うためには、本質を覆っている性格や自我(ego)の構造を認識し、根源的恐れ(囚われ)から自由になることが重要です。
つまり、(エニアグラムで言うような性格/精神的な) 健全度を高める必要があります。

Well-beingに寄与する」というRIWBのビジョンは、原理的にはWell-beingな組織や人間にしか成しえません。
そのため、私たちは、メンバー1人ひとりが当たり前に本質的自己に向き合える組織文化の形成にこだわりを持っています。

組織の視点 (RIWBからの目線)

存在目的 (evolutionary purpose)

私たちは、RIWBを「Well-beingの研究&社会実装機関」という存在目的が備わった一人格者だと考えています。
親が子どもの人格を無視して自分の意向通りに養育できないのと同様、いかなる立場の人間も、一人格者であるRIWB自体の自由意志を蔑ろすることはできません。

私たちはRIWBの組織経営において、RIWBの存在目的から私たち自身の自我(ego)を切り分けること、さらには、その能力を高めることに努めています。
また、存在目的は不変ではなく、環境や時代の変化に応じて進化するものです。私たちは、なんのためにRIWBは存在するのかを日々熟慮し追求しています。

全体性 (wholeness)

RIWBでは職場用の仮面を被る必要はありません。
私たちは、各個人がbeingに向き合うことで、根源的恐れを手放しありのままの姿で働ける心理的な安全性を重視しています。

自主経営 (self-management)

RIWBは、権力的な階層構造に頼ることも、また誰かに支配されたり管理されたりすることも必要ありません。
私たちは、自発的な意志による働きが有機的に結びつくことにより、生態系のような自律的な生命システムとして機能しています。

組織文化の背景にある理論や概念

RIWBでは、個人の成長やチームビルディングのために、輪読会や対話を通して、組織文化の背景にある理論や概念に対する理解を深めています。

エニアグラム: 根源的恐れと健全度

エニアグラムとは

  • 人間の9つのタイプに分類した性格タイプ論
  • 通常の性格分類のような顕在的な特性による分類ではなく、潜在的な根源的恐れ(囚われ)を類型化したもの。

重要な概念: 根源的恐れ (囚われ)

  • 死や消滅という普遍的な恐れに対する反応
  • 幼児期に自らの本質との繋がりを必然的に喪失することから生じ、性格が形成されるメカニズムの根源になる。

重要な概念: 健全度

  • 自分の性格構造/囚われ/自我または根源的恐れ(囚われ)から、どれだけ解放されているかを表す指標。
  • エニアグラムでは、9つの段階に分類される。

RIWB内での実践

  • 個人の成長
    • 各メンバーが自分のタイプを認識し、自分自身の性格構造囚われに対する理解を深められるように、輪読会や対話を実施しています。
    • 各メンバーが、自分自身の囚われと向き合い健全度を上げられるように努めています。
  • チームビルディング
    • 各メンバーが自分の性格構造に囚われてプロジェクトを進行していないか、またそのような可能性が生じる構造的要因がないか、いつも配慮し合っています。
    • すべてのメンバーに特有の囚われてがあるという相互理解を深め、その囚われに固執せず解放しても良いと思えるような心理的安全性の醸成に努めています。(cf, ティール組織の「全体性」)

成人発達理論: 垂直的成長

成人発達理論とは

  • 人間の成人以降の成長/発達に焦点をあてた心理学の理論。
  • 人間の知識やスキルを司る知性や意識が成人以降も生涯をかけて成長/発達していくことを前提とし、人間の成長/発達プロセスメカニズム理論化したもの。

重要な概念: 垂直的成長

  • 知性意識が成長することで、人間としての器が拡大し、現実に対する認識の在り方が変容するプロセス。
  • 対になる概念に知識やスキルの成長を表す水平的成長がある。
  • 垂直的成長はオペレーション(OS)、水平的成長はアプリケーションにそれぞれ喩えられることがある。

RIWB内での実践

  • 前提 (注意点)
    • 発達段階は、“The higher, the better.” (高いほど良い) わけでもなければwell-beingとも相関しないことがこれまでの研究で明らかにされています。
    • また、発達段階の成長は、長い時間 (1つの段階で5年以上と言われることもある) をかけて醸成されるものであり、かつ人為的に起こせるものでもなければ、起こすべきものでもありません
  • RIWB内での取り扱い
    • 自分の発達段階や垂直的成長とどう向き合うかは、完全に各メンバーに委ねられています
    • 成人発達理論は、英語では “Ego Development thory” (自我の発達理論) と言われることもある通り、各メンバーが自我(エゴ)と向き合う際に、ときとして有効な手段になり得ますが、輪読会などを通した概念の紹介のみに留められています。
    • 覚悟を持って真剣に向き合いたいというメンバーにのみ、サポート体制を用意しています。